うつ病をかかえつつ働いていると、いろいろな苦難に遭遇します。

うつ病の治療を続けながら働く方は、大変なご苦労をされていると拝察します。

 

 

私も何度かそういう経験はありますが、ストレスを溜めないで働く事は困難で、結局働きながら治せたという事は、この19年間ありませんでした。

 

 

無論、うつ病は個人差の大きい病気ですし、軽いうちに処置を施していれば、働きながら治す事が出来る人も、沢山いらっしゃるかとは思います。

 


とは言え、うつ病によって仕事をこなす能力が、著しく低下することも多いので、職場では病気の辛さだけでなく、仕事が思うように進められず、時には上司に注意を受けたりする事もあるということは、覚悟をしておくべきだとも思います。

 


一般的に、うつ病になる人の性格は、真面目、完璧主義、頑固、融通が効かないなどと言われるので、裏を返せば与えられた仕事は、キッチリやらないと気が済まないような人は多いでしょう。

 


「仕事が丁寧」 だとか、「言われた事はちゃんとやる」 とか、超優秀とは言われないまでも、それなりに仕事が出来ると思われている人も、多くいらっしゃると思います。

 

 

そういう人間にとって、「仕事がちゃんと出来なくなる」 ことの辛さと、「出来ない事を、怒られる」 つらさは、普段から怒られている人の比ではありません。

 

 

まず怒られ慣れていないですし、元気な時だったら簡単に出来たような仕事で、怒られるわけですから、そのストレスは半端なものではないと思います。

 

 

これを乗り越えるには、うつ病に対しての正しい認識が重要だと、私は思います。

 

 

すでに何度か書いておりますが、うつ病は 「心の病」 ではなく、「脳の病」 です。

 

 

うつ病で人体に実際に起る事は、脳の中の情報伝達物質の働きに異常が起こって、脳が正しく機能しない症状です。

 

 

脳が正しく機能しないと言うと、何も考えられなくなりそうですが、そこまで悪いわけではないため、軽い仕事や作業はできる場合も多いです。

 


しかし健康な時と同じレベルの事は、なかなか出来なくなってしまうので、同じ仕事を続けていると、ミスや遅れが出るようになります。

 


具体的に例を上げましょう。

 

 
たとえば、書類を読む事が困難になって来ます。

 


この症状は自分が読んでいる位置が分からなくなり、元の方へ戻って読み直さなければならなくなったり、一度読んだのに意味が頭に入らず、もう一度読み返したりといった、時間のロスが起こります。

 


内容が頭に入ったにしても、そこから次の展開へ想像を膨らませたり、予測を立てたりなども困難になりますが、これは分析力や、想像力が落ちるためとも思われます。

 


また記憶力の低下があるため、一度考えついたアイディアがあったにしても、忘れてしまう事もあります。

 


順序立てて考えているつもりでも、途中が記憶出来ておらず、抜け落ちている事もあるので、最終的な答えにたどり着けないような事も、しばしば起こります。

 

 

コミュニケーション能力も落ちるので、チームワークの必要な仕事にも支障が出ますし、忍耐力や理解力も落ちるので、同僚や上司と普段ならばぶつからないような事で、衝突を起こす事もあります。

 

 

これにより、人間関係がギクシャクしてしまうなんて事も、多いと思います。

 

 

このような職場のトラブルは、私が思いつくごく一例ですが、これがうつ病の表面に見える症状になります。

 


ただ、この状況を引き起こすのは、脳の中で起こっている脳内物質の異変であって、心がおかしくなったとか、性格が変貌したという事ではありません。

 

 

うつ病が治ってくれば、並行して元の能力が戻りますので、仕事もやりやすくなると思います。

 

 

私などは、うつ病の理解があまり無い時代からうつ病ですので、仕事が思うように出来なくなってしまった時は、「もう私はダメだ」 などとも考えましたが、そういう心配はしなくて大丈夫です。

 

 

実際私自身、うつ病が完治に近かった時期など、「私ってこんなに仕事出来る女なんだ、へへへへへ♪」 と悦に入っていたような期間もありました。

 

 

うつ病で一度能力が下がって、そして上がるのですから、面白いように何でも出来るようになります。 それは楽しみにしていていただいて、大丈夫です。

 

 

ただ、仕事と治療を両立させて、うつ病を治すには、上記のような職場での苦難は、多かれ少なかれ、体験しなければならなくなると思います。

 

 

また、仕事が忙しい時期でも、病気の具合によっては休暇が必要になる場合もあり、同僚に迷惑をかけることの、ストレスも覚悟しなければなりません。

 


真面目と言われて来たような人は、他人に迷惑をかけるのも、会社に迷惑をかけるのも好みませんので、とくに心にひびくストレスになるとも思います。

 


仕事をつづけながら、治療が可能かどうかは、医師と相談して決めていただくのが一番だとは思いますが、医師自身がそう真面目な人格でない場合、患者の真面目さから感じてしまうストレスを、ちゃんと把握していない場合も多いと思います。

 

 

とくに、うつ病になってしまうほど真面目な人の気持ちは、うつ病にならない人には、なかなか理解しにくいですよね。 ・・・・・・・

 

 


仕事を続けたい気持ちは分かりますが、仕事を続けていたら治りそうにないと思うような場合は、長期の療養休暇も考えた方が、将来的にはまた健康に働ける時期が、より早く来る事も考えられます。

 


私自身はうつ病にへこたれず、頑張って働いて、何度も悪化させて退職したような経験がありますので、ご自分にはどちらが適切な治療か、状況をよく見て判断していただきたいと、心から願っております。

 


まあ、観察力も分析力も落ちている、うつ病の患者さんには、ちょっと難しい判断とも言えるんですけどね。。。。。

 

 

お大事にどうぞ。

 

 

 

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