日本の美しい精神のために、うつ病患者は仕事を休んで、治療に専念することが難しいのだと思う。

 

うつ病にかかって、苦しい思いをしながらも、なんとか働きながら治療を続けたいと、考える患者さんは多いと思います。

 

 

病気なのだから、本当ならば休めばいいのですが、なぜそんなに働くことに固執するのか?

 

 

私個人は、これは完全に日本の美徳のせいだと考えております。 (苦笑)

 

 

例えば、日本人は幼少の頃から、人様に迷惑をかける事はいけないと、割としっかりしつけられております。

 

 

これ自体は世界でも評判の、礼儀正しさや治安の良さにつながっているので、決して悪い道徳観念ではないですよね。

 


しかし、うつ病の患者さんのよくある悩みは 「いくら辛くても、職場のみんなに迷惑をかけるから、休みがとれない」 という事で、これも上記の道徳観念が、発揮された一例です。

 

 

また、仕事を休んで収入が減れば、家賃が払えなかったり、誰かにお金を借りたりと、家族や周囲に迷惑をかけることにもなりますので、よけいに仕事は休みにくく思えます。

 

 

患者の方では、自分が正しい事をしていると信じていますので、なかなかあきらめようとしませんし、根性を出して頑張った方が、より良い事をしていると考えるので、タチが悪い事になったりします。

 

 

本当はあまり悪くならないうちに、休んで回復をはかった方が、長期療養で何ヶ月も休まなくていいので、職場には迷惑がかかりにくいのですが、つい頑張れるところまでは頑張ろうと思ってしまいますよね。

 


最期まで頑張るとか、根性を出すとか、忍耐とか、こういったものは海外でも無論、美徳とされているところではあります。

 

 

しかし、世界的に真面目な人が多いと言われる日本では、根性勝負の競技人口が多いですから、レベルも高いのだとも考えられます。(苦笑)

 

 

さらに日本の美徳で、うつ病の治療をはばんでいるのは、「もったいない精神」 です。

 

 

メルビルの 「白鯨」 を読んだ事がある方は、ご存知だと思いますが、欧米の捕鯨はロウソクなどの油を取るためでしたから、肉や皮・骨などの、日本人があまさず使って、食べたり道具作りの素材にした部分は、全部捨ててしまうんですね。

 

 

ま~、あの本を読んで 「モッタイナイ!」 と思わなかった日本人はいないと思います。(なんか変な例を出してしまったか?)

 

 

そんなふうに、物を粗末にしない民族ですから、一度入った会社はそう簡単に辞められないし、それまでのキャリアや、積み上げた経験を捨てるのは、本当にもったいなくて、あきらめるのが忍びないのです。

 

 

海外だって、仕事を辞めるのは嫌でしょう?・・・・ と思われるかも知れませんが、終身雇用という制度のない欧米は、会社を渡り歩く人は沢山おりますので、日本人ほどの抵抗を持っている人はそんなにおりません。

 

 

雇用契約も半年や1年で更新という人も多く、どっちにしろ更新時期には、もっといい仕事をさがすかどうか、検討する人も多いようなワーキングスタイルです。

 

 

また会社をクビになって、自殺する人もほとんど居ないと言われております。

 

 

会社をクビになって、お金が無くなって、彼女にフラれると、自殺を考えはじめる人もおりますが、失職だけではそこまで重要な挫折とは、考えられていないようです。

 


過労死が無いと言われるのも、その仕事意識のなせる業でしょう。

 

 

自分の仕事に誇りを持っていないと言うか、職人気質じゃないように見えるので、日本人としては、ちょっとどうなの?と思わなくもありませんが、日本より人が死なないというのは、もちろん悪い風習とは言えないとも思います。

 


日本でも終身雇用はもう無いと言われている昨今、気に入らない会社は早めに辞めて、次の仕事を探すワーキングスタイルが定着してくれば、従業員を粗末にする会社は、人が来なくなりますので、ブラック企業も減るハズなのですがねぇ・・・・

 

 

ともあれ、うつ病で苦しみながら仕事をつづけている事は、心意気としては悪い事ではなく、働き者の正しい姿勢ではあるのです。

 

 

そこは、疑わなくていいと思います。

 


冷静に考えなくてはいけないのは、どこが限界かという事ですよね。

 

 

発熱などのように 38度以上になったら、休んでもいいだろうとか、数値目標のないうつ病は、限界の見極めが難しいところです。

 

 

前でも書きましたが、ここであと2週間頑張って仕事を続けたために、半年ですむはずだった長期療養が、2年に伸びてしまったら、これはどう考えても会社に迷惑ですし、自分もえらい目に遇うことになります。

 

 

そこであと2週間頑張るのは、違います。

 

 

しかし、医師の方でも、「今、休みなさい」 と言って後で 「先生が休ませたせいで、南鳥島に移動になってしまいましたよ!」 などと、文句を言われると困るので、どっちつかずの病状の悪さでは休めとは言いません。

 


医師も患者の人生より、自分の人生の方が大事ですから、そこまで悪くないかも知れない患者を休ませるような、リスクは取らないと言ってもいいと思います。

 


「この患者は、休まないと治らないかも知れないな」 ではなく、「この患者は休ませないと、絶対に 治らないな」 というところまでは、休業をすすめてはこないのです。

 

 

私の再発体験から類推する感じでは、医師が休むように言う時は、もうかなり手遅れです。

 

 

以上を踏まえ、どうか遠慮なく休みを取って、働ける人生を長もちさせてください。

 

 

うつ病歴、今年の秋で 20年、その間働いたのはフルタイムで 4年、パート4年の、計8年という、まだ治っていない患者からのお願いです。

 

 

19年前の最初の長期療養の時に、思い切って 1年休んでいたら、こんな事にはならなかったのではないかと、今でも悔やむ事はあります。

 

 

そこでキッチリ治していたら、後年夫には出遇わなかったので、今の人生は今の人生で、悪くもないと思ってはいますが、元気でずっと働けていたら、ぶっちゃけ夫には遇わなくてもよかった・・・・・  かも。

 

 

夫には内緒ですけどね。 (苦笑)

 

 

お大事にどうぞ。

 

 

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