【ご家族へ】 いつも ゴロゴロしているうつ病患者は、実はすごく頑張っているのです。
ゴロゴロしている患者は、実は忙しい と言いますか、暇ではないという事は、うつ病にかかったことが無い人には、想像もできないと思います。
見た目は暇で、暇でしょうがないように見えます。
それは否定いたしません。(苦笑)
ゴロゴロしてTV など見ている人がいたら、なにか手伝わせたくなるのも、分かります。
私も掃除をしている時に、夫がゴロゴロしていると、「少しは手伝いなさいよ」と思います。(笑)
しかし、うつ病患者がゴロゴロしている場合、元気が無くて他の事ができないから、ゴロゴロしているのが普通です。
『体力の回復を待っている』 とも言っていいでしょう。
これはうつ病患者を家族に持つ方には、とくに理解していて欲しい事です。
疲れて グッタリしている時に、「少し働け」とか 「これ手伝って」 などと言われれば、誰でもムカッとしますよね?
うつ病という病気は、365日 24時間、疲れが取れない病です。
ゴロゴロしている患者は、ゴロゴロしているだけで精一杯なのです。
半日ゴロゴロしてたんだから、そろそろ回復してたでしょ?・・・・・ と健康な人は考えると思います。
しかし、うつ病は脳の不具合で、疲労などの感覚が発生しています。
3日や4日寝ていても、回復しないのが普通です。
今までずっと自室で、布団にこもっていた患者さんが、居間に出てきてテレビを見ながらゴロゴロしていたら、あと2~3ヶ月はそのままでしょう。
そのくらい時間がかかる病です。
この時期に、頑張れと言われて、キレる患者さんも多いと思いますが、「少しは何かしたら?」 と言うのも、その延長に入ります。
この患者が感じる疲労感は、専門用語で言えば 「精神行動抑制」 と呼ばれる 症状 の1つです。
疲労感として現れる場合もあり、やる気のなさや、興味の無さ、だるさなどといった感覚で、現れる場合もあります。
ただ単に 「やりたくねぇ~」 と思う場合もあります。
何かやろうと思うと、反射的に嫌な気持ちになるというような、症状もあります。
実際に体の筋肉や骨なんかに、疲労が残っていなくても、脳が 「疲れた~」 という誤認をずっとしつづけていて、疲れがとれないとも言えます。
「少しくらい疲れていたって、頑張れば働けるでしょ?」 と思うかも知れませんが、努力でどうにかなるようなものは、医学界も 『病』 に認定しません。
更に、うつ病はあのケチな厚生労働省が、治療費のサポートをするほどの、ヤバい病です。(苦笑)
普通の風邪なら、パブロンでも飲んで頑張れば、まあまあ働けますが、それは窓口負担が 3割の軽い病だからです。
うつ病は通院治療をする場合、患者の負担は 1割になる制度があります。
福祉予算を削ることに、やっきになっている日本政府が、お金を出すと言うのは、ちょっとやそっとの病ではありません。
ゴロゴロしてネットを見ている元気があるなら、仕事も探せるはずと、考えるのは間違いです。
うつ病は2週間で治るとか、90日で治るとか、いろいろ希望のあることを書く研究者もおりますが、そういうケースも実在したというだけの話であって、何ヶ月も、何年も治らない患者も沢山おります。
癌になっても、手術や放射線で治る人もいますが、治らず亡くなる人もおります。
うつ病も、短期間に治る人と、なかなか治らない人間が居て当然でしょう。
ゴロゴロしている患者は、邪魔で見苦しいとは思います。
しかし、何か手伝うような状態ではありませんので、そっとしておいてあげてください。
うつ病は、統計的に見ると、真面目な人がなりやすい病です。
何も出来ない事に、患者も悩み苦しんでいる場合が多いのです。
「仕事を探せ」などと言うと、家族トラブルになりやすいのはもちろんですが、悪くすると患者が切れて暴力的になったり、自暴自棄になってアルコール依存症になったり、思いあまって自殺するようなケースも、かなりの数の報告があります。
患者のためにも、ご自分自身のためにも、うつ病という精神疾患について、理解を深めて欲しいと思っております。
よろしくお願いいたします。
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