うつ病患者が、規則正しい生活をしようとすることは、リスクが高いと思う

 

うつ病の治療中に、「生活のリズムを正すといい」、「規則正しい生活をするといい」などとアドバイスする医師は、多いと思います。

 

 

去年見たうつ病特集番組で、NHK に出演しておられた、うつ病研究者の先生も、そのような御指摘をしておられました。

 


私は 19年の闘病経験から、この意見に真向反対なので、その理由を今日は説明したいと思います。

 

 

そもそも、うつ病というのは、通常の人間が何気なくやっている生活が、出来なくなってしまう病です。

 

 

健常者が 「規則正しい生活」 と呼ぶ生活が、簡単に出来るのであれば、うつ病ではない事を疑った方がいいくらいです。

 

 

そういう病気を持ちながら、規則正しい生活をする努力をしても、失敗することがとても多いのは、どの精神科医の先生でもご存知でしょう。

 

 

ただ失敗する事を、リスクが大きいと、捉えていない医師も多いように思います。

 

 

うつ病をわずらう人間は、一般的に真面目、融通が利かない、頑固、完璧主義などと言われておりますが、そういう性格である人間は、一度取り組んだ事に、失敗するという挫折は、相当なストレスになってしまいます。

 

 

なんせ根が真面目なので、生活改善にも真面目に取り組んでしまいますから、それで失敗するというのは、いい加減にすぐ投げ出す人間が思うような、楽な事ではありません。

 

 

とくに真面目な人間は、当然元気だった時は働いておりますから、朝定時に起きて会社に行くような、それなりに規則正しい生活をして、生きてきております。

 

 

しかし、うつ病になってしまえば、規則正しい生活をしようと思って、朝起きようと試みても、 起きられない時は起きられません。

 

 

そういう病気なのですから、それは仕方がない事ではあります。

 

 

それにしても、以前は普通にやっていた事なのに、今は仕事に行けないばかりか、朝起きる事もできなくなってしまったと、何度も思い知らされるのは、真面目なうつ病患者にとっては、激しいストレスになります。

 

 

ストレスがうつ病の治療に、良いという事は絶対にありません。

 


悪くすると、病状を悪化させる事もあるでしょう。

 

 

これを医師が、あまり分かっておらず、安易に患者にすすめてしまっているように、私には思えてなりません。

 

 

また、うつ病患者は平均的に真面目で頑固ですから、「これをやるといい」 と言われると、けっこう頑張って、何度もトライしたり、やり方を工夫したりしますので、結果何度も失敗する事にもなります。

 

 

これは普通の人間でも、気持ちが暗くなるでしょうが、うつ病患者は100倍暗くなる病気にかかっているのですから、もう病気が悪化しない方がおかしい状況になりかねません。

 

 

私に言わせれば、生活改善は絶対やらない方がいいでしょう。

 


では、うつ病の治療流によく起こる、昼夜逆転などの生活の乱れは、どうしたらいいのでしょうか?

 

 

私はこの19年間で何度も、回復や再発を繰り返したせいで、生活パターンの乱れは、病状が良くなって来ると、勝手に直るということに気がついております。

 

 

私自身は元々、土日は昼間で寝てる日もあるけど、平日はキッチリ 8:45 AM(始業より少し前) に、席についてメールを確認くらいはする、規則正しい生活をする人間ですので、元気になればそういう人間に、嫌でも戻るのです。

 

 

「人間、そう変わらない」 とよく言われますが、これは本当の事で、病気が治った健康な状態になると、性格も能力も元気だった頃に戻ってしまいます。

 

 

うつ病は、個人差が大きい病気ではありますので、100%誰でもこうなるとは、言えないことも事実です。

 

 

しかし、私自身が発病から13年くらいは、昼夜逆転などなった場合は、なんとか戻そうと、いろいろな取り組みをしておりまたしました。

 


そして 「どうやら、どんな事をしても戻らないから、あきらめよう!」 と、思い切った事で上記のような結論にいたっております。

 

 

そういう分けで、『頑張っているのに、生活が規則正しくならない』 と思っている方は、騙されたと思って、一度あきらめてみるのが、絶対におすすめです。

 

 

私の経験では、昼夜逆転は長くても2~3ヶ月で、元に戻りましたので、人によってはもっと期間がかかるかも知れませんが、月単位のスパンで、症状を観察するのがいいと思います。

 

 

「私は生活を昼型に改めたら、うつが治ったよ?」 という人は、大へん申し訳ないですが、うつ病が回復して来ていたから、昼型に改められた可能性が、高いと思います。

 

 

少なくとも、うつ病が軽くならなければ、生活改善に取り組む事すらできないので、

睡眠が元にもどって来たら、完全復帰の前の、症状が徐々に軽くなって来た時期に入った、

というような見方をしたほうがいいと、私は考えます。

 

 

とにもかくにも、ゆったりした気分で、毎日ゴロゴロ休むのが、うつ病の治療です。

 


何事であれ、「努力」 をしないで生きるのが、もっとも大事なことなので、頑張ってゴロゴロ寝て過ごして下さい。

 


真面目に生きて来た人には、意外とこれが一番難しいかも知れませんが、そこは努力でゴロゴロしてください。 (笑)

 

 

お大事にどうぞ。